カテゴリ:@新聞屋( 440 )
しつこいけど、イラン情勢
豊かさって多様性だと思うんですよ。0か100かの二者択一だけではなく、その中間がきめ細かくややブレながら連続的につながっている、その選択の自由があるということがあらゆることの豊かさなんではないかと。例えばカレーを食べるという用を満たすだけなら、魯山人も評した(?)新聞紙の器を使うのも、柿右衛門の濁手の丼をつかうのも変わらない訳ですが、新聞紙はともかく、100均か柿右衛門かしかない世界は味気ないでしょ。エントリーとして安価で善良な品があり、その少し上にはもう少し上質な体験ができるという感覚のステップアップが人間を育てていくんです。

で、しつこいんですが、イラン情勢。イラン、BBC支局長を国外退去/ジャンル別ニュース一覧 :佐賀新聞の情報コミュニティサイト ひびのだそうです。小林恭子の英国メディア・ウオッチ:イラン、デジタル英国の報告書によれば、イランでBBCはここんとこ行動が制限されていたらしく、イラン国内ではBBCを自由に聞けないのだとか。しかし他局は当たり前に取材しているらしいので、BBCだけが圧力を掛けられていると小林さんは見ています。地方放送局が弱体化し、英国ではBBC一極化が懸念されていますが、今回の経過はまさにその危険性が露呈した形です。

その多様性は現在メディア企業が自身の事業として賄っていますが、このメディア不況時に誰が担保していくのか、もっというと誰が金を払って支えていくのかを考え直す必要がありそうです。そこらへんを高野孟氏が新聞もテレビも、もう要らない?—4つの雑誌の特集を拾い読むで文字通り拾い読んでおり、クーリエ・ジャポンの特集から、1)政府の補助金 2)NPOとし寄付で賄う 3)ジャーナリスト集団を慈善事業で支える 4)ウェブ向けの新しいジャーナリズムの開発に投資 という選択肢があると書いています。どれも米国の事例ばかりですが、数年後を歩む日本のメディア業界には参考になるかもしれません。

効率化や広告減、あるいは政府のご都合と言った要素で、ジャーナリズムの多様性が損なわれるのは非常に危険です。Twitterは今回のイランでは中立だったかもしれませんが、他の地域ならどうでしょう。Googleは中国では、政府に不都合な検索結果を意図的に表示させないという措置をとっているのは有名な話です。Yahoo!トピックがタダで見られていれば、豊かな社会が担保される訳ではない、ということを忘れてはいけません。
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by nekotekikaku | 2009-06-22 04:58 | @新聞屋
しつこいですが、Twitter
米国務長官、「Twitterはイラン国民にとって重要」とコメント
米国は他国の表現の自由を守る義務がある、と。

われわれは表現の自由を促進する。Twitterは表現の1手段であり、イラン国民にとってのみならず、世界中の人々にとって非常に重要な手段となりつつある。わたし自身は使っていないが。人々が情報を共有する手段を稼働させ続けることは、特にほかに情報源があまりない場合、非常に重要だ
全くその通りです。その担保を誰に求めるのか、というところが問われているんですね。それが新聞じゃなくなりつつある、と米国政府がある意味認定したというのが、一連のニュースな部分だったと思います。

米国産サービスなら米国法に則って運用されるでしょうから、Googleの出版著作権問題で露呈したように、コンテンツ自体が日本的考え方と違う利用をされかねません。ナイフは調理も殺人も出来ますが、利用価値があるなら存在や製造自体を規制はできません。ただ、利用にはその社会に応じたローカルルールが必要で、それはその国・地域のコミュニティの中で考えるべきでしょう。米国のTwitterとイランのTwitterと、佐賀のTwitterは、インフラは同じでも持っている意味が違うはずです。今後も様々な利用法や表現方法がTwitterなどサービスごとに編み出されていくでしょうが、それが最終的にどう使われるか、まで過度の干渉を受けないように、ブームに乗せられすぎず監視・議論していくのが、マスメディア・地域メディアとしての新聞の必要性になるのかもしれませんね。

ま、インターネット自体米国の軍事情報網の民生化インフラですから、全ては掌上のダンスとも言えますが、それはそれで。
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by nekotekikaku | 2009-06-19 11:01 | @新聞屋
ジャーナリズムを守るTwitter
ツイッターが保守作業を延期、背景にイラン情勢: AFPBB News

イラク政府が新聞発行を停止したため、情報インフラとしてミニブログ「Twitter」が注目されているようです。Twitterは中国大地震の時に災害情報網として使われたり、オバマ米大統領が選挙戦で戦略的に利用したり、最近ではオフィシャルサイトでDellが売上を伸ばすなど、プロモーションインフラとしても注目されているWEBサービス。今回の大統領選に際し、イラン国民にとっては数少ない情報源となるため、いわばTwitterという米国のいちWebサービスが、イランという国のジャーナリズムを守った!と言えなくもない出来事です。

最近では朝日新聞がサッカー中継したり、佐賀新聞をはじめ地方新聞社数社がRSSフィードを表示させるなど、ここしばらくの盛り上がり感はかつてのBlogブームを彷彿させます。しかしこれを単なる露出先の追加と捉えるのではなく、その場ならではのコミュニケーションの形を模索して、新しいジャーナリズムの形を作り上げてほしいものです。ちなみにTwitterで講演などをライブ中継することを「Tsudaる」(音楽系ジャーナリストの津田大介さんがやり始めたから)って言うみたいですよ。1センテンス140字以内というシステムの制限を想定して、リアルタイムにまとめかつ読ませるモノを作るのも、紙やブログと違った技術が必要なんですね。

さて、今回のニュースなポイントは、それにくだんのオバマ米大統領が一枚噛んでいるらしい、というところ。トップが率先して技術を受け入れ、現状に合わせたメディアリテラシーを磨いているところはステキです。こんなトップが「必要だから、やれ!」と言ったら、部下はまず反論の余地なしですね。新しいメディアの感触をつかむには…四の五の言わず、自分で体感することですよ!

追記:asahi.comにも載ってますね。イラン抗議活動「ツイッター」で連携 米政府も「支援」
イラン大統領選をめぐる抗議活動の参加者らが「ツイッター」と呼ばれるウェブ上のコミュニケーションサービスを使って連絡をとり合っていたことが、米メディアなどで話題になっている。
メディアのカタチも常に変わりつつあるようです。
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by nekotekikaku | 2009-06-17 20:45 | @新聞屋
「危険な関係」は蜜の味
メディアと通販の「危険な関係」 | WIRED VISION

ですってよ。

「家庭をもってて幸せに包まれてヤるSEXよりも 不倫とかで背徳の思いに包まれて路地裏でヤったほうが濡れるっていうから 人間っていうのは恐ろしいものだよ」
by リリー・フランキー

危険だからこそ燃え上がる関係というのもありますが、そんな関係は「冷却期間をおく」「ヤメる」という選択肢もあるんですよ。とても勇気がいりますが(^^;)
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by nekotekikaku | 2009-06-15 22:16 | @新聞屋
新聞は信頼のメディアです。
YOMIURI ONLINE:楽天、出店企業に顧客情報…中止表明後も1件10円で

ネットメディアGigazineが数回に渡って果敢に攻めるも、話題は梅田望夫に流れたこの件。1週間後に読売新聞が取り上げるやいなや共同通信も追いかけるなど、にわかに大騒ぎになっている。これこそが紙媒体の影響力の大きさであり、ネットより紙媒体の方が世間に信頼されている証左であろう。

...ん?
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by nekotekikaku | 2009-06-06 04:15 | @新聞屋
梅田望夫は「残念」か
日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編)およびWeb、はてな、将棋への思い 梅田望夫さんに聞く(後編)がネット界隈で話題になってます。言わずと知れた梅田望夫氏は、2006年の著書「ウェブ進化論」が大ヒットし、「Web2.0」ブームのアイコンになった経営コンサル。新聞社でも幹部クラスにこの本が配られた所もあったと聞きます。

・切込隊長BLOG:おい望夫! ヤフーで賭け将棋しようぜ
・404 Blog Not Found:梅田望夫は「残念」なただ一つの理由
・ひろゆき日記@オープンSNS。:あなたの自由は、他の人も持つ自由。
・はてなポイント3万を使い切る日記:日本のwebがレベルが低い理由
・クロサカタツヤの情報通信インサイト:から騒ぎ
・Tokuriki.com:梅田さんのインタビューを読んで思う、日本のネットの探すべき道
・小鳥ピヨピヨ:日本のネットが「残念」なのは、ハイブロウな人たちの頑張りが足りないからかも知れない
・佐々木俊尚 ジャーナリストの視点個人の狂気を見い出すフィルタリングシステム
はてなブックマークでの反応

数年経っても彼は変わらず、僕らの状況が変わっただけ、では。プレゼンの口上として使いやすい「梅田望夫」じゃなくなった。それだけです。今回の盛り上がりの一番の見どころは、将棋本の紹介で人物像を浮かび上がらせ、これだけの論争を巻き起こす良質のネタを提示する、という企画を成功させた、ジャーナリストゆかたんの筆さばきだったのでは、と思います。ウェブ時代のメディアのカタチ、オピニオンの作り方はこんななんでしょうが、そこも本質的には昔と変わらないのです。

追記:徳力さんのを追加してます。最後に大物も釣れたみたいで、IT戦士の完全勝利ですね。
追記2:いちるさんのを追加しています。
追記3:佐々木さんのを追加。本文のどこにも梅田望夫さんとは書いてませんけど、一番のカウンターだと思います。
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by nekotekikaku | 2009-06-04 11:56 | @新聞屋
デジタルサイネージが本格化
来る来ると言われて数年経つデジタルサイネージ(電子看板)が、いよいよ本格化の兆し。古いニュースですが、Findstarの電通、定款を一部変更。事業多角化に対応。では定款第2条(9)の改訂がデジタルサイネージの上流から下流までの受注を意識したものだと報じています。

単なる情報配信なら、街中の大型ビジョンやテレビとさして変わりませんが、湯川さんの「次世代マーケティング・プラットフォーム」にあるように、デジタルサイネージの真価は個人情報と結びつく事で発揮されます。ユーザーが見たい情報をタッチパネルでリクエストしたり、ケータイと連動してユーザー属性とエリアに合わせた情報を流したり、顔検出機能と合わせて広告効果を測定したり。今まで数量×密度×エリアでしか効果を測定出来なかった屋外広告が、マスメディア→ターゲットメディアになるというのは、かなり画期的な事なんです。

この分野、広告全体の不況を救うブルーオーシャンとなるのか、映画「マイノリティ・レポート」のように、街中にプライベートがなくなるウザイ世の中になるのか、もっと拡張現実化して「電脳コイル広告」になるのか、今後の運用とアイデア、そして政治力次第だと思います。そこに定款を変えてまで電通が本腰入れてやるつもりなのは、フォーマットの乱立を防ぐという意味で正しい事かもしれません。
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by nekotekikaku | 2009-05-28 11:59 | @新聞屋
佐賀新聞×YouTube
佐賀新聞テレビ夕刊「YouTube」に配信/佐賀のニュース :佐賀新聞の情報コミュニティサイト ひびの

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本日より佐賀新聞社は、動画共有サイトYouTubeと提携し、公式パートナーチャンネルとして佐賀新聞テレビ夕刊を配信します。佐賀新聞のチャンネルはこちら。すでにメディア関係では先駆けのTOKYO MXをはじめ、Channel ASAHINHKonlineなどがありますが、地方紙としては佐賀新聞が初になります。琉球新報四国新聞公式チャンネルなども既に走り出しているようですので、これからますます公式動画が盛り上がりそうです。

佐賀新聞社の動画サイトはニコニコ動画でも公式チャンネル展開していますが、こちらのブランドは「ひびじょん」。リーチしたいターゲットに合わせて、ブランドを使い分けています。だからYouTubeの方は、あえて佐賀新聞の紙面イメージを想起させるデザインとなっています。大変だったんですよー、新聞紙ってデカイからスキャンするのは(^^) でも今回はリアルな紙の質感、量感にこだわりたかったんですよね。その紙の重さを共有してもらえる世代なら、コンテンツなんていう軽い言い方の先にある記者の息づかいが感じてもらえるかも、なんて思って作ってますがいかがでしょう。

そこにコミュニケーションの芽がある限り、これからも佐賀新聞はいつでもどこでも出かけていって、その場の文化を吸収し育てていくでしょう。新聞屋のコアコンピタンスは新聞製造力や流通網とともに、人と人を繋げる場作りが出来る事だということを忘れずやっていければ、新聞社は形は変わっても「メディア」としてありつつけられるはず、と信じてそのベース作りを地味にやっていきます。今後ともみなさんのご指導をよろしくお願いします。
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by nekotekikaku | 2009-05-19 12:05 | @新聞屋
デザインは新聞を救えるか?
ジャチェック・ウツコは問う「デザインは新聞を救えるか?」

一部売りが基本の欧州とは違い、宅配制度が普及している日本でデザイン性でここまで部数が伸びるとは思えない、というのが一般的なご意見だと思いますが、キモはここ。
新聞全体を ひとつの作品として扱っていた事<中略> 我々のとったプロセスは外見を変えるだけではなかった 商品を完全に改良することでした
同じようなことを前に話を聞いた、元NYTシニアアートディレクターのスティーブ・ヘラーも言っていたような気が。NYTはアート・エンタメ欄だけは完璧にアートディレクターの手が入っていて、その面だけでも購読する価値がある、とは東京工芸大の茂木氏の弁ですが、なるほど。新聞が様式に甘んじて読んでもらう努力を怠っている、「良い」以上の製品づくりから遠ざかっているのは、どこの国の新聞にも共通したテーマなんですね。新聞の領域は、いまや紙に収まり切れないくらいに拡張しました。「良い新聞」とは違うものを作る、その再設計工程としてアートとデザインがあるんだと思います。

なので、デザイナーに権限を与えてください(笑)
しけた"新聞紙"というものを、考えられる限り最高の"コミュニケーションアート"に仕立てあげませんか。
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by nekotekikaku | 2009-05-18 06:58 | @新聞屋
博報堂DYHD赤字。
博報堂DY・HD:発足以来初の最終赤字32億円
 博報堂、大広、読売広告社などの広告代理店を傘下に持つ博報堂DYホールディングスが14日発表した09年3月期連結決算は、投資有価証券の評価額見直しなどにともなう特別損失の計上で最終損益が32億円の赤字となった。赤字は、03年10月の発足以来初めて。売上高は前年同期比7.6%減の1兆333億円、経常利益は36.5%減の170億円。10年3月期決算についても減収減益を予想している。
これで電通とともに2大広告代理店が揃って赤字決算が確定しました。米国の金融危機に端を発した世界的な景気後退...とは枕詞として辞書登録されてるのでは?と思うくらい何度も聞いた理由ですが、特損を除くと双方黒字なんですよね。決算説明会資料(PDF)によれば、売上はマスメディア計で11.3%減、なかでも新聞は22.9%減と大幅な落ち込みで、構成比も2.1ポイント下がり10.5%と薄氷の1割キープです。マスメディア全体が縮小しており、マス:その他の構成比が、今回ちょうど6:4になりました。22年度3月期よりネット系子会社のDACが連結対象になるそうですので、この比率がさらに5:5に近づくのでしょうか。

しかし今回見ていておもろいと思ったのは、決算短信(PDF)の7p「事業等のリスク」。広告業界における取引慣行、広告主との関係、媒体社との関係、広告業界における競争状況、インターネット広告等のニューメディアの進展、メディア・コンテンツビジネスに関わるリスク…などなど、単独社の問題というより、広告代理店周辺の問題点が18項目に渡って赤裸々に綴ってあります。こと取引慣行や媒体社・広告主との関係に関しては、昨年の産政研の報告書でも触れましたが、広告というものの信頼性を高めるためにも、メディア総出で取り組まなくてはならない大きな課題ではないかと思っています。
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by nekotekikaku | 2009-05-15 20:48 | @新聞屋