週刊東洋経済3/10号
b0020765_5185238.jpg週刊東洋経済2007年3月10日号が、なぜか新刊の所にあったので買って読んでみました。特集は「著作権は儲かる。」。著作権ビジネスについて「デスノート」やらの製作委員会形式の目的や、電車男の出版の流れなどのコンテンツビジネスの分け前の仕組みが分かりやすく解説されています。権利関係はとかく企業間のの話になりがちですが、中でも記事で紹介されているJDCの「シネマ信託」は、この仕組みを個人にまで広げたもので面白い試みです。広く資金を集め、広く配分する、この形は非常にネット的で、この形式が定着する事で徐々に著作権がフェアになっていく可能性が見えます。

そしていちばん共感できたのは松本零士氏のインタビュー。「先人に敬意を表すべき」これが著作権の基本だと思います。私も多少芸術をかじりましたが、創作活動によって産み出されるものは儲かる云々ではなく、制作者そのものを表現するもの、いわば人生そのものです。それを条文がどうとか、権利がどうとかで勝手に意図しない形で使われる事に危機感を感じます。だから氏が銀河鉄道999を書く際に、宮沢賢治の遺族や国鉄に話を通したということは著作権法上必要ない事かもしれませんが、実は一番大事な事であると思います。だからこんな騒動は金銭云々より気持ちの問題でしょ。

文化というものは一朝一夕にして成り立つものではありません。先人の積み上げてきた知の財産に、自分の世代分をほんの少し上積みする事で社会が1世代分先に進む、そんな人々のささやかな営みの積み重ねです。今日の著作権法はたかだか私より2歳年上な若造で、ベルヌ条約ですら120歳程度。その間の積み重ねを歴史教科書のページ数で言ったところで、なんぼのもんじゃいってレベルの薄さです。法的に金銭が発生しないものには価値を見いださないという、昨今の風潮は異常です。JASRACが押さえている音楽でさえ、先人のフレーズを真似てインスパイアーされながら新しいモノを生み出してきたじゃないですか。すべてロケンローラーは必ずしもチャック・ベリーに金を払いませんが、敬意は払っているはずですよね。

文化を次の世代に伝えるためにも、著作物を出すか出さないかの二者択一だけではなく、クリエイティブ・コモンズ(CC)のように著作者の意志で著作権を柔軟に管理する必要性があると感じています。その上で私たち消費者も著作者の意図を侵害しない事と、それに見合う少しの対価を直接支払う事が出来るシステム作りを誰かがしなくてはなりません。それができてこそ次の時代の担い手が育つ「楽しい関係作り」(松本氏)が出来るのではないでしょうか。囲い込むな、解き放て。どこかで聞いた台詞です。ただし敬意は忘れずに。
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by nekotekikaku | 2007-03-26 06:44 | @新聞屋
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